気がつくと、部屋に小さいクモがいない。
入居当初からずっといたし、私がこの団地に来ていま弟がいる部屋に入ってから出るまでも、クモがいなかったことはなかった。
それどころか、娘がいる家にも気がつけば同種のクモはいなくなっている。
どこにでも、いつでもいるので、URでも他、人のいる場所にはいるのだと思っていた。
いつからだろう・・
考えると、たぶん夏過ぎくらいから、
いや、すでに盛夏になる頃にはいなかったかもしれない。
少なくとも、秋口にはもういなかった。
それまで、私の作業する近くの壁際で
ぴょんぴょん跳んだりしていて
それが少し励みだったのに。
一人でこちらに移ってきた時
ものかげから出て来て
また一緒かと少し嬉しかったのに。
今は、まったくいない。
どういうわけなのだろう。
少なくとも、私がもの心ついた時から、このクモはいた。
小杉の公団にもいた。
それがいなくなったのは、コロナか。
たぶん、除菌?
最初は、どこかでバルサンでも焚いたのかと思っていた。
しかし普通はバルサンを焚くと、その家から逃げてきた、例えばゴキブリなどがしばしばやってくる。
ところが、その兆しもない。
でもいま、多くの人がアルコールや除菌剤を使っている。
その影響ではないか。
ちなみに、私はアルコールをほとんど使わない。
使えない、が正しいかもしれないが、
過敏体質で、注射の際も使わないでもらっている。
「平気ですよ」と言ったら看護士さんから
「ダメですよ!」と怒られてしまった。
一度使うと赤く広範囲に腫れる。
というわけで、外ではスプレー容器に液バイオを入れたものを噴霧している。
公共施設で手指の消毒が求められるが、毎回断らなければならない。
「アルコールにアレルギーがある人がいるなんて知らなかった」
という人もいて、私もその一人ではあったが、
そういう人はたぶん、誰でも酒は飲めると思っているし、鍛えればたくさん飲めるようになると思っている人だ(笑)
まあそんな経緯で、ほとんどすべての人がそういったことに勤しんだ結果、このようなことが起きているのではと推測する。
これはおそらく、大変なことだ。
一つ生態系が崩れるということは、全体に普及することだからだ。
回り回って、我が首を絞める。
そんなループだ。
だからもう、除菌、やめましょう。
やめてもほとんど人間の健康に影響はありません。
病気にかかっても、私はクモが身近にいる生活を選ぶ。
クモと差し向かいの日々も侘しいが、
クモがいない日常はもっと侘しい。