前回、あんなことを書きながら、
1度だけオモチャを貸すのがイヤで、ゴムでできたワニだったんだけど、
「貸して」って言われたとたん、
手足をゼンブちぎって、シッポもバラバラにしちゃったことがある。
相手の女の子はそれを見て、わっと泣き出した。
わたしも、一緒に泣いた。
バラバラのワニ君が残念で。
いじわるも、した。
上の階に住んでいた、嗜虐心をそそる子。
お絵描きの時間、
端っこにその子のへんな顔を描き入れて
満足していた。
ときどき、顔をまっ黒く塗っちゃう。
今ごろ、和尚と秘書が恐山に出かけているはずだ。
毎年この時期。いわくつきの、恐山訪問。
帰りは、近くの温泉に寄る。
あいかわらず、上質な身なりに、わがまま放題の叫び声で
専務に予約してもらったレンタカーに乗りながら、ちゃんちゃんばらばらか?
あれはあれで、無邪気なのだ。
身近にいなければ、罪のない人々。
「良心は誤魔化せないから、いつか自分のしたことで苦しむ」
と、専務は言うけれど、
本人が悪いと思っていないものを、どう判断し、苦しむというのだろう?
罪があるかどうかは、わたしが決める!
ガケの上から、着飾った二人の背中を、そっと押してやろう。
彼らは、もういない。