先日、東京ステーションギャラリー主催で、
『駅2008 鶴見線に降りたアートたち展』
なるものをやっていたので、
かねてから鶴見線に興味のあった私は、こういう機会でもないと一生乗らない!と思い、
でかけたのであった。
鶴見線・・貨物線じゃなく、立派な通勤用路線だけど、
京浜工業地帯の埋立地を結ぶ工業用鉄道のイメージだった。
確かに、そう遠くないですが。
鶴見・国道・浅野・海芝浦・扇町の5駅の構内または改札外に、
若手アーティストがオブジェを設置しておる。
昔、鶴見線と横須賀線の大事故があったので、
親に「鶴見線に乗ってはいけない」とよく言われていたが、
それを振り切るためにも決行(笑)。
鶴見駅の改札を通ると、すでに雰囲気は違う。
殺風景でどこか暗く、重々しい。
クラゲのようなオブジェが、かろうじて柔らかさを加えている。
でも通勤時間帯、これを意識する乗客はいかばかりかと。
次の国道駅は、構内の古さと異様さから、よくTVで取り上げられたりしていた。
黒澤の映画のロケにも使われたそうな。
近所に魚市場もあるので、前から行ってみたかった。
確かに駅を出るとすぐ、魚屋の連なる通りに出る。
しかし、駅もギョッ!って雰囲気だけど、この辺りも少しアヤシイ。
少しぶらついて、近くの京急花月園前駅まで行ったけど、魚も仕入れず早々に退散。
アートは5駅中一番よかったし、駅もそれなりに雰囲気があるのだが、
若干写真を撮って以後いろいろと調子がおかしくなったので、載せるのはやめます。
で、ここでフト気づくのだが、鶴見線は本数が少なく、
3本支線があるのだが、各終点に行く列車は1時間に1~2本。
そのうち一本は、朝と夕方しか運行していない。
だから、時刻表を見て、ちと計画的に回らなければいかんと思ったのだが、
いささか気づくのが遅く、海芝浦行きのために浅野駅で待つこと40分。
浅野駅には自動販売機が2台あるだけで駅前には店もなく、
その販売機も、お金を入れるとそのまま落ちてくる。
と、目の前にいる電気技術者らしい人と目があった。
柱状トランスが、地面に置かれておる(笑)。
で、あきらめてただ黙々と待つ。
そして海芝浦へ。この先は海である。
実は海芝浦は、某企業専用の駅である。
改札を出ると、すぐ従業員入り口。
ただ折り返しの電車が出るまでの25分間を過ごせるよう、従業員用の公園を開放している。
自分もかつては、この企業の社員であった。
研修期間中は他の事業所を回るが、ここには来たことがなかった。
ちょうど昼どきで、ここで昼食をとったらしい女性社員が
談笑している。
目の前の海には、60羽ほどのカモちゃんたちが
波にゆられている。
ときどき、海にもぐっては、魚を取ったりしているようだ。
水も、工場の前とは思えないほど、昔に比べればきれいになっている。
そして最後の駅、扇町へ。
ここでやっと駅前に売店を見つけ、食料を仕入れる。
オブジェはつまらなかったが、駅構内に寝転んでいたネコたちが
せめてもの慰め。
なお、すべての駅は無人で、スイカをタッチしなくても大丈夫そうではある(スイマセン)。
ついでに浜川崎線にも乗ってみようと思い、浜川崎で尻手行きを
『うまい棒えびマヨネーズ味』をかじりながら待つ。
この浜川崎線は、海芝浦での某企業他事業所に通っていた当時、
降車駅から出ていた南武線の支線である。
当時はえっらい古いチョコレート色の車両が、ホームに待機していたのを横目で見ていた。
あまりの古さに、乗る気はしなかった。
今はすっかり新しくなってしまい、風情は消えた。
浜川崎から支線の始発駅・尻手に向かい、
そこから昔通った某事業所跡地まで歩いた。
かつての事業所は姿を消し、他の企業の建屋に取って代わられていた。
あたりの町並みはほとんど変わっていなかったが、
それでも、かつての汚く暗い労働者の街・川崎の面影はなかった。
川崎は、やはり自分の育った町で、
どんなに汚くうらぶれた場所でも、雰囲気を自分の皮膚が覚えている。
一方、鶴見は横浜市なのだが、自分には違和感があった。
ハラがへったので、ペルー料理の店に入った。
中にはペルー人らしい人しかいなくて、スペイン語が飛び交っていた。
おかみさんは親切で、料理はうまかった。
写真は、ハチノスとジャガイモの煮込み・ライス添えです。