カノンはじめの「隠れたところもあまねく照らす」

祈祷師の下で事務員をしていた時に見た世の中の裏側や、バンパイアと暮らしていた時のこと、その他スピリチュアルなことやヒーリングなどについて主観的に綴ったブログです。

プライドと謙遜

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怒りは、それを誘発させたなにかに理由があるのでなく
自分の中にすべて理由があると、一応考えている。

つまり、自分の中のものを、なにかに投影しているだけである。

しかし、あえて今日は書く(笑)。

やはり銀座で、先日ある作家さんが個展をしたので、見に行った。

そこは自分が個展をした場所からもほど近く、イコンを見せるということだったので
会期前から楽しみにしていた。

イコンの展示は、なかなか見る機会がない。

展示するという情報があれば、だいたい必ず出かけていた。

果たしてそれは、ほぼ完璧と言ってもいいほどの出来だった。

が、会場はイコンが3分の1ほどで、他は和風な植物の絵で占められていた。

イコンは額も手作りで(と、会場内に展示された説明には書かれていた)
かなり凝った作りだった。

和風な絵に使われた額は、どれも趣のある、わざと古めかしく処理したような
やはり凝った造りで
滅多に見られないようなものだった。

作品については、ほぼ口を差し挟めるような感じのものでなかったので
あえてそれには触れず、その場にいた作家さんと思しき方に
額について質問した。

少なくとも世界堂で見つけられるような
安い感じのものではなかった。
だから、どこで手に入れたのか知りたかったのだ。

それがよくなかったのかもしれないが・・

「これはみな私の家の方で揃えたものです。
うちは田舎なんですが・・」
と言って、笑った。

和風の絵は、日本画ということで
イコンがロシア風なのに対しだいぶ作風も違ったが
隙のない出来であった。

よく聞けば、その人は京都在住で
職業は仏画師だという。

つまり、プロである。

ただ、イコンと植物の日本画は趣味で描かれているという。
そうして描き貯めたものを、初めて個展として出したらしい。

絵についてほめたり、展示をするまでの経緯などについても
少し話したりしたのだが
その間何度か
「田舎者ですから」
という言葉を口にした。


でも、京都の人に普通、だれも田舎者って思わない・・ですよね。

それって、こちらを田舎者って言ってるのと同じ・・ですよね?

「お前に、わかるわけない」
って、意味・・ですよね。

日本人であれば、京都が日本の文化の代表・・って
だれでもわかってるじゃないですか。

それって日本人のDNAに組み込まれてるように
無言のうちに理解していることじゃないですか?
たとえば金属製のカトラリーより
土でできた茶碗と木の箸に無意識に吸い寄せられるように。

その無意識に組み込まれたものが
その国の文化であり、その国の人間としてのアイデンティティだと
私は思うわけですよ。
(愛国精神とかナショナリズムとかそういうことではなくて)

京都の人にしかわからない何か
ってものが、存在するのも確かなんでしょう。

京都人は、自分がそれを背負っているという
自負というか自意識というか、プライドがありますよね。

それを見せられた気がしました。

新聞の相談欄で、回答者が言っていました。
「行き過ぎた謙遜は、自慢である」と。

「自分が本当に自信のないものについて、人は口にしないからだ」
とのことでした。

私も自分の欠点ばかり目について自信がまったくなく
そのことをよく口にしていましたが
たまに、「すごい自信家」と
人から言われることがありました。

それについて兄が言ったのも回答者と同じようなことでした。

なるほど、そんな考え方もあるのだなと
その時は思いましたが
なんとなく合点が行きました。


今まで出会った京都の人はだれも親切で
いやな人などいませんでしたが
それは私が「いちげんさん」でなく「だれかのつれ」だったからかもしれません。

京都に来て京都の人と話をしているかぎり
少なくとも京都の価値を多少なりとも知っていると思われるから
寛容だったのかもしれません。

夫が学生時代を京都ですごしたことを友人に言うと
「それ、すごく大変だったんじゃない?」
と言われましたが、意味が少しわかった気がします。

でも、彼は大変そうどころか
まわりの人から普通に愛されていたようです。
そういったことを一切感知しない彼は
ある意味大物かもしれません。

と、ちょっと感心しました。


私はこれと同じようなことを
ヨーロッパでさんざんされました。

西洋人の辞書に謙遜と言う文字はありませんから
同じやり方ではありませんが

「お前なんかにヨーロッパがわかるわけがない」

というのを、いろいろな場所でいろいろなやり方で突きつけられました。

てなわけで

「ウワァァン・・モウコネーヨ!」

てな感じで逃げ帰ったのでございます(笑)。


でも、しばらくぶりに来てみると
少し様子が違っていました。
ヨーロッパは、若い人に冷たいのです。

そして、その間にヨーロッパを訪れた多くの日本人が
彼らの評価を変えたのでしょう。


まあ、もしかしたら私の至らなさが
その人に不快感を与えたのかもしれませんが
一応

「ナメンジャネーヨ」

とは言っておきましょう(笑)

(写真は神保町の喫茶店で)