先日、錦糸町で飲んだ時の話である。
前の職場でお世話になった人に(以後Aさんとする)、以前書いた怪しい、競馬の日は混むという小さな酒場にまた連れて来られた。
その時は大変怪しいサツマアゲを食わされたので、戦々恐々としていたが、
今回のツマミは至って普通、というより
相当秀逸であった。
化かされた、
というより、振るいにかけられたのかもしれない。
そしてなんとか、歓迎してもらえることになったのだろうか。
今回も前回と同様、男性の一人客が。といっても前と違う人だが。
次に入って来たのが、やたら声の大きいコテコテの関西弁の若い男。
「この後に飲み会があるからちょっとだけ飲まして」
「コブクロの生と焼いたの、両方頂戴」
「他に何かモツ新しいのあったら焼いて」
と、初見の客のようだがタメ口でママに甘えている。
「俺、どこ行ってもコブクロ食べんねん」
「これは新しいけど、独特の匂いが好きやねん」
あまりに聞き慣れない事ばかり言うので、つい耳を立てる、というかイヤでも耳に入る。
私は関西弁は嫌いではないが、それでもかなり耳障りな関西弁。
そこに連れらしき人が来るが,かなり小馬鹿にした扱い。
「これから後輩のお祝いがあるから皆で飲むけど、お前が迎えに行って。あ、おばちゃん、こいつにも何か焼いたって。ちょっとしか食わせんでええから。」
しかし相方もいつまでも席を立つ風はないので訝しく思っていたところ、電話がかかってきてかなり大きい声で話し始めた。
雰囲気が普通の人間ではなかった。
そこへ
「あら先生お久しぶり。」
と言われて、知的職種そうな50代くらいの男性が一人で入ってきたので、大学教授かなにかと思った。
店を出てAさんは
「あのうるさい関西弁はマンションの一室に女を連れ込んでパーティーとかをさせて金を取っているんだろう。先生、と言われていたのはB病院の先生。」
と言い切ったのでビックリした。
ほろ酔いになっていたが、さすが元警察官、人を見る目は衰えていなかった。
「コブクロばかり喰ってるってのもおかしいだろ。あの匂いが好きとか。」
字面通りに受け取っている自分の世間知らずは、死んでも未熟なままだろう。
いろいろな商売があるものだ。