行きつけの喫茶店で、ティンホイッスルのライブがあったので聴きに行った。
前年にウイスキーの創業者についてのドラマで、ティンホイッスルの曲が使われていたことで、少し脚光を浴びていたようだったが
私はドラマも見ないし、音楽にも疎いので何も知らず、
ただ喫茶店の女主人のお勧めで伺っただけだった。
ウサギを亡くしたばかりで、どこに出る気もしなかったが
なんとなく向かったところ、ウサギが跳ねるような弾みある曲調に少しばかり癒されたので、CDも買って何度か聞いた。
同じ季節が巡ってくると、その時馴染んだ曲を聴きたくなることがあるが
去年は聴かないでいた。
年末にその辺に積み上げた書類を整理してみると、CDがその中に紛れているのを発見したので、久しぶりにウサギを偲ぼうと取り出した。
と、2016年に聴いたときのように強い思いが上がってくることはなく
かえって去年亡くなったそこのマスターのことが思い出されたので、意外に感じた。
ライブの時はご夫婦とも元気で、マスターが忙しくコーヒーを次々と淹れていたのを思い出した。
その時はむしろ女主人の病後を心配するような様子が強くて
まさかマスターが倒れるとは思っていなかった。
ライブは超満員で、店内には隙間なく人があふれていた。
CDも次々と売れて、店に委託された分はすべてなくなり、女主人が計算に追われていた。
今回久しぶりに聴いたら、そんなことが思い返された。
でもその後早々に、マスターのガンが見つかるのだ。
当時私はマスターから気導術を習っていた。
確かにその頃、なんとなくマスターがとても痩せてきたように感じていたのだ。
前年秋頃来始めた、新しい受講者のことが、少しばかり気になっていた。
医療従事者らしかったが、そのころ急激にその関係の受講者が増えたのだ。
新しい流れのようなものを感じ、またウサギの死もあったので、私の足はその後徐々に遠のいたが
4月に訪ねた時にマスターの病気のことを聞いた。
それでもその年の年末までは、細々と教室に通っていた。
結局店に通ったのは昨年の6月までのたった4年ほどで
マスターと交流があったのは2年半ほどだった。
音楽はそれにまつわる事柄を思い出させ、感情を浮かび上がらせて整理させる。
今回はウサギについてだいぶ気持ちが整理されているのを知ったが、またしばらくした後に聴けば、また違う状態になっているのを知るだろう。
自分にとって音楽は、長い事なぐさめであり、癒しだった。
しかし近年、ある方のブログであるミュージシャンを知り、音楽は純粋に楽しみになった。
それは私にとって、意外な展開だった。
これから私は苦しみより、多くのことを楽しみをもって経験していくのだろう。