その２時間後にどしゃ降りが来るとは想像もできなかった。
スーパーを出て、キッチンカーでケサディアを買っている間に本降りになったが
江ノ島の花火の音が響いていたので、すぐ止むと侮っていた。
道々雨宿りをしたが、結局雨足は弱まることなく、温かいコーヒーも買えず、
自販機でスープを買った。
濡れねずみになって部屋の鍵を開けたが、戸建の家の想像を絶する暗闇に慌てた。
スイッチの位置を確認して出ることなど
思いもつかなかった。
雨が降らなくても、日は短いし海辺の町はうろつくには暗過ぎて、早々に部屋に籠っていたと思う。
温かさが残っているうちにテイクアウトしたものを食べ、友人の本を少し借りた。
翌朝、きれいな富士山が海の向こうに見えた。
滅多に雨に降られることもないのに、昨日はどうしたことだと思っていたが、このためだったのか。
海でこのように晴れた富士山を見たのは初めてだった。
朝食をここで取ろうと決めていた。
ダブルサンドウィッチ。
だいぶ前から気になっていた。
やっと、温かいコーヒーにありつく。
ヨーロッパでバックパッカーをすると、なかなか温かいものにありつけず、体内から冷えたままで眠ることがよくある。
前の日はそれに近かったが、バスタブがあったからまだよかった。
サンドウィッチはベジミートで、とても美味しい。肉がなくても満足。
