そこには「うさぎ110番」というコミュがあり、一応参加していたが
書き込んだこともなかった。
ネットも飼い始めはたびたび使ったが
ある程度すると情報に踊らされるのがいやだったので
現状を受け入れることを主にして
不明なことは獣医さんに相談するだけにしていた。
今見ると、「高齢ウサギ」に関するスレッドなどは2006年あたりは活発に
投稿もされていた形跡だが
今はいささか寂れているようだった。
それでも近年の投稿もちらほらあった。
近年は「月に帰りました」という投稿が多かったが
EZに関する情報も古いながら多少あって
斜頸やマヒで動かない手足のまま生きているウサギさんの情報もかなりあった。
そういえば獣医さんに、1歳くらいで症状が出て
12年間後ろ足が立たないまま暮らしているウサギの話も聞いたから
若くして出る場合もあるし
斜頸やマヒが必ずしも死に直結しているというのでもない。
ただ10歳を越えたあたりから白内障は出ることが多くなるし
寝てばかりいるというのも、あまり変わらない傾向のようだった。
当時知っていれば安心できたかもしれないが
不安になる部分もあったかもしれないし
どうともいえない。
先に知ってその情報に引きずられ、現実を見る目が曇ることは避けたいから
見なくてよかったとも思う。
1ヶ月、3か月、あるいは半年~一年と投薬し
その間に斜頸や眼振、開脚やローリングを繰り返すウサギさんを
飼い主さんたちは根気よく対応し世話していた。
しかしうちのFは、そこまで持たなかった。
13年と半年生きて、最後の二週間だけ不自由だったけれど
Fらしい生き方で死に方だったような気もする。
そして13年と半年は、人に換算するとだいたい94歳
老衰と言って差し支えない気もする。
人間の90代で老衰というと、夜眠ったらそのまま朝起きてこなかったという大往生の人しか知らなかったし
ウサギは年取ってもまるで子供のようで
年寄りという感覚がなかったのだが
相応に年老いていたらしい。
自分ができることを見極めることも必要だよね。
ここまでしかやらない。
それ以上はやらない。
諦めることは、納得して手を引くこと。
「ウサギだけじゃなくて、猫や犬、他の動物は
人と同期していますよね。
それを知らせるためにFちゃんはやってきたのじゃないかな。」
先生は言った。
エンパスの自分を知るきっかけにもなり
はるかに自分より精度の高いエンパスだった。
「みんながFちゃんみたいに長生きしてくれるといいんですけどね。」
病院を去る時、先生や他の獣医師の方々が見送ってくださった。
本当に、最後なのだなと思った。