またもや大変ご無沙汰してしまいました。
ALI PROJECTのコンサートに行って参りました。
NHKホールでございます。
(なお、私はアリプロのコアなファンではありませんが、曲は好きです。)
ジャンルはよくわかりませんが、ゴシック系の方々が好みそうな曲と表しておきましょう。
だからお客さんも、ゴスロリの女性ばかりと思っていたのですが、
意外や意外、半数は男性でした。
ナゼっ!?と、不思議でたまりませんでした。
届いたお花を見ると、なんと「影山ヒロノブ」様と「遠藤正明」様のお名前が!!
そこで客層のナゾが「もしや・・」に変わります。
そうですよね、アリプロの曲は、アニソンやゲームにも使われているのですから。
ボーカル・宝野アリカ様のお声は、ただ聞くだけならば、アイドルとしても通用してしまうようなかわいい声です。
曲調は極めて独特ですが、敢えて既存のバンドで似ているものを挙げるとすれば、
「ゲルニカ」でしょうか?(自分、テクノ世代なもので(^^);ゞ)
でも、ゲルニカの曲調も歌い方も極めて不安定だったのに対して、
アリプロのメロディラインは起伏に富んでいるにも関わらず、磐石です。
ゲルニカは、新しいものと古いものとの狭間でとまどっていた。
新しい振りをするべきか、古いままにとどまるべきか。
そこに、私自分の不安定がぴったり重なります。
私は、当時戸川純に似ていると言われていました。(顔ではなく、雰囲気が)
アリカ様には、迷いがありません。
古いままがいいのだと。
ゴシック娘たちの表現は、古いままでいいのだという開き直りの表明なのです。
だからこそ、かえって新しいのです。
そこまで表明するには、長い時間がかかりました。
閑話休題。曲調ですが、現代の軍歌と表現したいところです。
つまりアニソン、それもロボットもののそれの目指すところと同じなのです。
そう、男性客には独特の匂いがありました、「オタク臭」という
(すべての男性ではありませんでしたが)。
テンポも速く現代的でありながら、どこか懐かしく古風、
エロティックでありながらストイック、
メタリック・無機的でありながら有機的、和風でありながら欧風、
さらにオリエンタルにムスリム、インド風というふうに、すべてを包括しています。
歌詞はことばも意味も過積載。
作詞に関しても、作曲においても、アリプロは天才的です。
そして、すべてを持てるものの慣れの果ての姿、「退廃」が存在します。
退廃とは死の香りです。
その先には「死」しかないからです。
死の直前の熟れ切った存在を、アリプロは見事に描いています。
そう、われわれにあるのはタナトス。それがこれらの曲とシンクロするのです。
もう、私はなにもいりません。
いや、本当はそう言い切りたいけれど、そこまではいかない。
「なにもいりません」の先に、「チョコレートの他は」とつい、続けたくなる自分がいます。
肉体は、生を続ける上でまだいくらかのものを必要とし、
美しいものに対しての未練もあるのです。
アンコールでスクリーンに新曲「鉄(くろがね)のラインバレル」の映像が現れ、
男性客のナゾがすべて解けました。
※ご参考までにYou Tube動画 ALI PROJECT
http://jp.youtube.com/watch?v=777H4B4dj3Y